資本主義経済のゆくえ③
レバレッジ、空売り・・・、株式の取引きはルールが複雑だ。
レバレッジとは信用取引のことで、例えば委託保証金率30%とすると自己資金30万円で100万円の取引が出来るという仕組み。
空売り(売り建て)とは、実際に現物を売らずに信用取引で売った事にできる仕組みで、その逆の買い建てもある。
そのような信用取引は、日本では米を大量に取り扱うようになった江戸時代から、海外ではオランダで1500年代から始まっているらしい。
証券取引の中には、空売り(先物取引)のみならずオプション、スワップ、ユニット・・・と呼ばれる様々なデリバティブ(金融派生商品)がありルールも複雑だ。
それらは、賭博ではないが博打的要素があり、財産を築く人、財産を失う人を数多く生んできた。(賭博と博打は同じ意味)
人は欲のために色々なルールを編みだし正当化してきたものだなあと思う。
そして先に気づいた人達、ちょっと知恵の回る人達がルールを作り、いつも世の中を先導していくんだよね・・・と思う。
人より優位に立ちたいという本能がこの世界を動かしてきた。
財力が財力を生むしくみ。そして資金力の多い方がゲーム(勝負)を有利に展開できるようになっている。
金(財力)と権力。財力は力の象徴となっている。
財力で権力を動かし、自分の周囲だけでなく世界をも支配しようとしているように見える。
資金力増大競争が展開し、もはや国まで買えるのではないかと思えるほどの資金力が存在する。
私は、他国の膨大な資金力で国家が損なわれることはないのかと勝手に少し心配している。無駄な心配なら良いのだが。
金融に限らず他国に有利なルールに振り回されて転覆しないように、色々なルール作りには参画してもらいたいと思うのだ。それが無理なら、少なくとも不利益を被りそうなルールに対しては、自国を守れるルールを作ってもらいたい。
中国も世界第三位の債権を持ちながら、債務の量も相当増やしていて膨大な資金力を有するようになった。
世界の総資金量(債務を含む)は、どんどん増えていて今や235兆ドル、日本円で2京円を超えているらしい。
(×100円で2京3500兆円、×130円で3京5500兆円)
1京は10,000,000,000,000,000円・・・
世界では個人で20兆円、30兆円・・・、持っている大富豪がいるのだから、その位になるのかもしれない。
ちなみに日本人の一人当たりのGDPは39,301ドル(2021年)なので単純に100円を掛けると393万円位となる。130円を掛けると510万円位となるが。いずれにしても桁が違い過ぎて怖ろしい。
先ほどの2京円は世界のGDP(国内総生産)の総合計の247%に相当するというのだから、GDPを実態経済と仮定すると実態の2.47倍のお金が存在していることになる。ちなみに2010年位までは、100%位だったので実態経済との乖離は少なかったということだろう。
この十年位は相当なバブル経済とも言えるかもしれない。
このバブルのお金のうち、個人の所有物となっているお金は、バブルの金であってバブルの金でないことになる。
(個人のお金持ちはどんどんお金持ちになる!)
20兆円なんて、一昔前のどこかの国の国家予算だ。売る国が無ければ売買は成立しないけれど。
そして、世界の総GDP(国内総生産の合計 約1京円)の約8割が世界の株式市場に存在しているらしい。まさに株式市場は金のなる木そのものかもしれない。世界の大富豪は株式を保有している。
イーロン・マスクはテスラ、ジェフ・ベゾスはアマゾン、ベルオール・アルノーはルイ・ヴィトンとディオール、ビル・ゲイツはマイクロソフト、ウォーレン・バフェットは株の資産運用、ラリー・ペイジはグーグル・・・
日本の株式市場(東証)は、どこの影響を受けるのか、低迷を続けているイメージが強い。いちいち米国の証券市場と連動して動くのに東証だけ安く売られるのは、どういうしくみなのか・・・と思う。
建設行、自動車産業、電子部品、精密機器・機械、鉄鋼、化学・塗料、紙、繊維、医薬品、・・・昔から先進的な素晴らしい企業がたくさんあると思うのだが。
米国市場の時価総額は東証の5倍の規模に匹敵する。(2019年)
日本の上場会社は1996年1833社→2019年3706社と20年あまりで約2倍に増えたが、確かにマンモス企業は少ない。(2021年3822社)
アメリカの上場企業は1996年8090社→2019年4414社、同じ20年あまりで半分になった。
2019年4414社(時価総額34兆億ドル、世界市場シェア41%)、
しかしその後2、3年で
2022年6308社(時価総額44兆億ドル、世界市場シェア42%(東京証券取引所は世界市場シェア5%)まで増えている。
アメリカでは1996年位から規制が厳しくなり上場コストも高いことから上場せず、クラウドファンディングやベンチャーキャピタル(投資会社)から資金を調達する企業が増えたらしい。(2017年からソフトバンクグループのファンドも参加している。)また、未上場のまま、上場している会社と合併したり買収される会社(子会社化)も多いらしい。
なので既に上場し存続し続けている企業がどんどん巨大化している。
そのせいで2019年位までは上場企業が減少傾向だった。
上場せず評価額が10億ドル以上に成長した企業はユニコーン企業と言われる。
ユニコーン企業はアメリカ、中国、欧州に多く存在する。日本はその流れに乗っていない?
(乗った方が良いのか、その必要がないのかは分からない。日本は上場時にかかるストレスや費用がアメリカほどではないらしい)
アメリカで2019年以降に上場企業数が増えたのはそういった成熟した企業が次々に上場したからか、ユニコーン企業は規模が大きいので資金調達額も大きいということか。それにしても2、3年で米国の証券市場の時価総額が10兆億ドルも増えている。
証券市場に上場することで資金集めをするのが本来の意味だと思っていたが、アメリカの証券市場は理由があってそれが容易なものではないらしい。物言う株主の訴訟がやっかいで弁護士費用を含めお金がかかるので簡単に上場しない。弁護士の費用も上場費用もそもそも高いらしい。
アメリカは訴訟社会として昔から有名だったが、それと上場企業の数と巨大化に関係している部分があるなんて思いもよらなかった。
だから最初の方に書いたことを少し訂正しなければならなくなった。
世界は私の想像より遙かに複雑らしい。
世の中は少数のお金持ちだけが動かしているとも言えず、社会の中に住む多くの人の行動が複雑の絡み合っている・・・。
資料を読んだら沼に填まって結論に至らなくなった・・・。
訴訟で多額の賠償金を請求する。会社もお金で買収する。自分が働くよりお金でファンドを作って会社に投資して、お金に働いてもらう。
いずれにしても今の社会はお金が中心的価値でお金で物事を解決する・・・。
生活にはお金が必要なツールだから、分かるけど。
でもそのせいで富が集中し、経済格差も広がっていく。
それでも個人の自由や尊厳が守られる社会なら良いけれど。
日本の日本人らしい静かな暮らしも子々孫々続くといいな・・・。
時間も無いし考えもまとまらないので来年出直してきます。
知らない間に新しいルールや枠組み、考え方の変化に取り残されてしまわないように私も社会の動きについていきたい。
(IMF BLOG 、JPXなどネット内資料を多数参考にさせてもらいました。
*為替の変動で数値が簡単に変わってしまうので円換算はおおよそです。ご容赦ください。いずれにしろ数値が大きすぎる・・・)
R4.12.26
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