言いたい①の続き
18世紀のイギリスの産業革命後に発展した資本主義思想は当時の先進諸国にバブル経済をもたらしたが、1929年にアメリカから始まった世界恐慌でその思想は一度、大きく揺らいだ。
アメリカは経済恐慌から脱するために国が関与するニューディール政策(1933年)を行った。ニューディール政策の考え方は、ケインズ経済学の考え方と共通点が多く、政府の政策によって公共投資を行い需要を増加させるという考え方だった。しかし結果的に景気回復はうまくいかず、各国の保護主義貿易などの結果、1939年に第二次世界大戦を迎えてしまう。
アメリカは、第二次世界大戦において軍需産業で雇用を回復し、失業率が一気に激減した。
アメリカの軍需産業は主に民間企業の主導で行っているが、当時は公共投資の役割も担ったと考えられる。兵役は警察官と同じく公共性、公益性の高い職業である。
アメリカは産業基盤が日本より発展していたと思われるので軍需イコール公共投資という考えは少し違うかもしれないけれど。
そして、第二次世界大戦期のドイツ、イタリア、日本も軍需産業を拡張しており失業問題を解決している。
戦後、資本主義諸国は市場原理だけに任せず社会主義的な政策も取り入れて経済が回復していった。
日本の戦後は、道路、交通などのインフラ、箱物など土木建設関係に偏った公共投資に力を注いだが経済は右肩上がりに拡大し、1990年に金融緩和政策でバブルがはじけるまで経済の拡大が続いた。しかし、バブルがはじけた後は、ずっと経済が低迷したイメージのまま、現在に至っている。
日本がバブル景気で勢いが良かった当時、アメリカの経済は反対に少し落ち込んでいた。そのため、アメリカは資本主義思想を土台とした新自由主義思想へと進み規制緩和政策などによって2008年のリーマンショックへと繋がっていく。
日本の公共投資政策は、投資先が戦時中、軍需産業だったことと(軍需産業が公共投資だったという考えは、私の意見でWikipediaには書かれていない)、戦後は土木建設関係のインフラに偏って利権や汚職を生んだことで批判を受け、マイナスのイメージが非常に根強い。
加えて日本の経済学者の反対意見も多い。無駄なサービスと財を作り出しても意味がないとか、成長率の押し上げは一時的だとか、利権の温床になり易いとか、減税の方が公平だとかマイナス面ばかりが並べられ反対されている。
それらの何が問題だったかというと投資先の選択が偏っていたからだ。なぜ、公共投資先を土木建設業に限定するのか。
また、利権の温床が問題ならそうならないようにすれば良い。
それとやはりお金に対する価値観の問題だ。お金至上主義に問題がある。基準をお金に合わせている。お金が、経済を回すための道具であることを忘れている。借金が悪という観念にこだわりが強すぎる。
お金は、一番大切なものではない。一番大切なのは、人間の暮らしとか人間の命でしょう。
またアメリカでも、同じく公共投資という考え方は自由主義経済の公正競争を阻害するという考えが強く、ずっと避けられる傾向にある。
確かにアメリカの民間主導の軍需産業は優れた科学技術を生み、現在でも世界の最先端を走っているので致し方ない面は強い。これからも世界の先端を走り続けてほしいし、日本も追いついてほしいけれど。
一方、現ロシア連邦は、1922年、資本主義思想の問題点を解決する考え方としてレーニンによる社会主義思想により、ソビエト連邦社会主義共和国(ソ連)が成立している。しかし社会主義は個人で資本を持つことが出来ないため経済が成長せず、ソ連は長く続かなかった。1991年の12月に崩壊している。
歴史の話を混ぜて長くなってしまったが、言いたかったのは、やはり公共投資と資本主義の話だ。
日本は、第二次世界大戦で苦しい戦争を続け敗北したが資本主義思想と民主主義思想を手に入れることが出来たことは幸いだった。
資本主義は、現在の豊かな経済と社会を実現させるために必要不可欠な手段だった。
日本の民主主義と資本主義の歴史はまだ100年経っていない。
弊害のある部分や足りない部分を改善していくべきだと思う。
その一つとして、しつこいが公共投資による公共事業について提案したいのだ。
日本では明治時代以降、軍需産業が公共投資となって雇用を生み、結果的に優れた科学技術を生んだ。民間企業にシフト拡大して多方面に発展している。自動車、旅客機、電気製品、・・・色々な物のもとになっている。
土木建設事業も人々の暮らしに欠かせない重要なインフラであり科学技術の粋を集めたものばかりだと思う。こちらも民間に様々な事業があり、発展を続けている。高層建築物などの高度な建築技術、住宅設備、新幹線、自動化された設備・・・。
現在ある便利な効率的な様々な事業の多くは、公共事業からの発展だと考えられるからだ。
日本の国民は、教育のせいか皆自虐的で生活も貧しいと思っている傾向が強いが、私はそうは思わない。
日本の歴史が始まって以来ずっと、着実に革新的な進歩、成長を続けている。バブルの時も、バブルがはじけた後もだ。
日本の生活は、昔からずっとそれなりに豊かで満ち足りていると思う。恵まれた水資源があり、食べ物も美味しい、四季が美しく風光明媚で衛生的で比較的治安も良く交通も便利だ。良い所がたくさんある。医療も福祉も充実している。識字率だって高い。民度が高い。
良いところを見ようとしていないだけなのではないかと思う。少し至らない所とかマイナス面ばかりを上げ連ねて文句ばかり言っているように思える。
まあ、個人の価値観は違うので、強制はできないし、不足だとか不便だと思う気持ちが、新しい価値や物を生むとも思うのでより豊かになろうとすることは良い面もたくさんある。
それにもちろん日本の社会は、良い面ばかりでもなく残念な部分もある。
いじめ、虐待、犯罪、貧困など。
今、自分が苦しいと思っている人にとっては、良い面の話など耳にも目にも入らないかもしれない。
話が戻るが、言いたい①で書いたように、雇用によって仕事があり、収入を得て日常生活ができるということは幸せの基本だと思う。できればもっとたくさんの収入を得てもっと豊かに安全に暮らしたい。
一般的な希望だ。
そしてそこから更に自分の夢や理想を叶えることができたら、生きてきて良かったと思えるかもしれない。
そんな基本的な幸せを叶えるために多様な雇用を生む公共投資を財政出動によって行ってもらいたいというのが願いだ。財源は国債の発行で良いし、借金は、未来のいつかに回収するという循環があればいいと思う。
金融緩和政策を否定するわけではないが、金融緩和だけでなく具体的に社会の問題を解決するための財政政策として公共投資も増やしてほしい。
温暖化問題が世界中で叫ばれている。
企業が出すCO2を削減する、なんていう回りくどいやり方でなくて、赤字でも良いから、もっとダイレクトに直接CO2を削減する事業を立ち上げてほしい。
もちろん企業が出すCO2削減は、新しい技術やアイディアを生むので素晴らしいことで価値のあることだと思っている。
また、自然に配慮しながら、水没や災害に強い構造の街やシェルターを作ってしまうというのはどうか。
(トヨタ自動車の街作り計画は画期的だと思う。共同での半導体事業の立ち上げも各社凄いと思う。日本国民に希望と勇気を与える。)
もし数年後に地球に大災害が起きて誰も住めなくなるとわかったら、お金なんて何の価値もない。
お金なんて関係なく、人類は必死になって、なんとかしようとするのではないか?
(やはり地球環境の対策の中で重点的にやって欲しいのは、海などの汚れた環境からゴミを無くす事業。関連する事業で雇用を創出してほしい。)
日本は既に資本主義と社会主義の良い面を併せ持つ国として成立してきたと思うが、社会資本を使って限定的でなく解釈を拡大して有意義な将来性のある事業を始めてほしい。資金を補助し民間企業に行ってもらっても良いと思う。
岸田総理大臣の新しい資本主義が、ウィキペディアの修正資本主義のところに書かれていた。
修正資本主義とは、資本主義が持つ様々な問題点を緩和し解消することで、福祉国家を目指そうとする思想であるとあった。
私もこの考え方に賛成だ。
2022.11.15
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